連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス

マンダレイ氏の奴隷

<マンダレイ氏の奴隷>

次の日の夕方、夜の舞台にそなえて衣裳の準備をしていた時だった。
Tシャツ、短パン姿のテネシーが、階段脇で手招きしている。

「リアム、マネージャーが呼んでる」
テネシーが親指をあげて、GOODのサインをした。

「買い手がついたのかも。スーツとネクタイ着用で来いってさ」
「わかった」

僕は無表情を装ったが、内心、臓器売買ブローカーが来たのかもしれないと怖気づいていた。

応接室のドアをノックする前に、震える手首を押さえた。
深呼吸して、何とか笑顔を作る。

フォトジェニックであること。
美しく、愛想のよい奴隷は高く売れる。

僕は笑顔を作るのが苦手だ。意識をしないと、すぐに無表情になってしまう。

最初はずいぶん怒られたが、アルカイックスマイルも個性ではないかという指導者の言葉に救われた。

エキゾチックで、独特な雰囲気を持つ奴隷を好む客もいる。
品揃えも多様な方が、商売では有利だ。


コンコン
「入りなさい」
中から許可が出たので、ドアを開けた。

「失礼します」
そう言って、きっちり90度まで頭を下げた。

「頭を上げろ」
マネージャーが言うので、僕はようやく客を見る事ができた。
< 10 / 70 >

この作品をシェア

pagetop