連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
「桃の花はピンク色だが、墨の濃淡で花の盛りから、花びらが舞い落ちるまでが描かれている。
黒は際立たせ、淡いはぼかして曖昧にしてしまう」
彼は山並みの上を指した。
「この余白は空を示している。描かない部分は、見る人のイメージをかき立てるので重要なんだ」
その東洋の水墨画の講義を聞きながら、僕は素早く次の段取りを考えていた。
あのルーミンという助手が来る前に・・・
締め上げて、暗証番号を聞き出し、すぐに足環を外す。
それから金目のものを、盗って逃走する。
「絵のモデルだが、いくつかポーズを決めたい。ここより温室の方が温かくていいだろう」
マンダレイ氏は棚にあったレースの刺繍の扇を手に取った。
マンダレイ氏が先を歩く。
廊下の突き当り、二つドアを開けると、そこは光が射しこむ温室だった。
背後から首を絞めて・・・ロープか何かで・・・
僕が一歩出た時、マンダレイ氏が振り向いた。
「あそこの籐の椅子に座ってくれ。この扇を持って、君の楽なポーズでいい」
彼の穏やかなアンバーの瞳、静かな口調、そこにはまったく警戒心がないようだ。
僕はちょっと考えた。
黒は際立たせ、淡いはぼかして曖昧にしてしまう」
彼は山並みの上を指した。
「この余白は空を示している。描かない部分は、見る人のイメージをかき立てるので重要なんだ」
その東洋の水墨画の講義を聞きながら、僕は素早く次の段取りを考えていた。
あのルーミンという助手が来る前に・・・
締め上げて、暗証番号を聞き出し、すぐに足環を外す。
それから金目のものを、盗って逃走する。
「絵のモデルだが、いくつかポーズを決めたい。ここより温室の方が温かくていいだろう」
マンダレイ氏は棚にあったレースの刺繍の扇を手に取った。
マンダレイ氏が先を歩く。
廊下の突き当り、二つドアを開けると、そこは光が射しこむ温室だった。
背後から首を絞めて・・・ロープか何かで・・・
僕が一歩出た時、マンダレイ氏が振り向いた。
「あそこの籐の椅子に座ってくれ。この扇を持って、君の楽なポーズでいい」
彼の穏やかなアンバーの瞳、静かな口調、そこにはまったく警戒心がないようだ。
僕はちょっと考えた。