連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス

今の現実

<今の現実>
「リアム、ぼけっとしていないで、さっさと網タイツを履け!」

そう言われて、マネージャーと呼ぶ管理者を見た。

僕は今だに、夜と昼のない世界で漂っている。

しかも、自由はない。

「これを外してもらわないと、履けないのですが」

僕はズボンの裾を少し持ち上げて、足首にまかれている輪っかを見せた。

僕たちはこの足環で100%管理されている。

命までも。
足環にはGPSがついているし、無理に外そうと壊せば、毒針が出る仕組みになっていると言われている。

実際、窓から飛び降りて、逃げようとした愚かな勇者がいたが、その場で倒れたのを目撃した。

その後はどうなったかわからない。

毒針で死んだのか、麻痺させるだけだったとしても、その後は監禁され、臓器売買で殺されるかドラッグ漬けでどこかの組織に売り飛ばされる。

それも二束三文で叩き売られるのがおちだ。

ここでは暴力は振るわれない、商品に傷がつくからだ。

僕たちは常に足環か首輪で管理され、必要なら薬も使われる。

でっぷりと太って脂ぎったマネージャーは、薄ら笑いを浮かべた。

「ふん、確かにそうだな。では、首輪にしておこう」

そう言って、赤い首輪を投げてよこした。

「わかっているな。リアム、おまえはバカじゃないはずだ」

僕はうなずいた。
首輪も一度装着したら、自分では外せない。

マネージャーの持つタブレットかスマホで、暗証番号を打ち込まなくてはならない。

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