連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
トビアス様が墨をすり終えたルーミンに声をかけると、すぐに立ち去った。

「扇で顔を半分隠して、足を組んだほうがいいかな」


その声は低く小さいが、冷静だ。
彼を興奮させたほうが、隙ができるのだが・・・僕は心の中で舌打ちした。

汗と脂でギトギトした皮膚、ねっとりと見つめる視線。

舌なめずりをする唇。

荒い息遣いと、その股間は熱を持ち張り詰めている。

というのが定番の客なのだが、マンダレイ氏の視線は、僕を遠くの風景のように見ている。

「その・・足首の・・邪魔だな」

マンダレイ氏がつぶやくように言った。

「外したほうがいい」

僕は組んだ足を戻し、扇を膝に置いた。

「僕には外せません。暗証番号を知らないので」

「ああそうか。どうすればいいのかな?」

僕はそのぽやっとした受け答えに驚いたが、それをおくびにも出さないよう静かな微笑みを浮かべた。

「マネージャーがタブレットをお渡ししたはずです。
あと、解除のための暗証番号もお伝えしているかと。
あの黒い鞄に入っていると思います」

「なるほど、それではルーミンに持ってきてもらおう」

マンダレイ氏が言いかけるやいなや、僕は叫んだ。

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