連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
「本当はもっと長いんだ。いつもは省略しているけれどね。
先代が王族の外戚だったので、父母の両方の家名が入る」

「そうですか。では、いつも使っている方のお名前で入れてみます」

名前を打ち込むと、次に暗証番号を打ち込む画面が出た。

最初にマネージャーから暗証番号をもらうが、後で好きに変更することができる。

「暗証番号は・・・」

ここが一番大事な所だ。

僕は唾を飲み込んだが・・・あくまでも冷静さ、なにげなさを装った。

「ああ、暗唱番号?覚えるのが面倒くさいから・・・
そのタブレットの裏に、テープで止めてもらったはずだ」

ああ、なんとポヤポヤの御主人様なのだろう。

隙がありすぎて、こっちが拍子抜けしてしまうほどだ。

タブレットの裏を返すと、白のマスキングテープに6桁の数字とアルファベットがボールペンで記入してある。

あのマネージャーが書いたものだ。
彼も苦笑いして書いたと思うが・・・

マネージャーから見たら、とんでもカモ葱客と判断したはずだ。

僕の値段を10倍くらいにふっかけて、普通はそこから値段交渉で値引きしていくのだが、
このカモであるマンダレイ氏は、言い値で買い取ったのか。

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