連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
打ち込み終わった時、足環のつなぎ目がカチリと外れる感触がした。

「外せるかね」
マンダレイ氏は、心配げに覗き込んだ。

「はい、大丈夫です」

僕は屈んでゆるんだ足環を外し、タブレットの上にのせた。

これで奴隷時代は終了だ。
あとは、金をせしめて逃亡あるのみ。

「それは君が持っていなさい。私には必要ないものだから」

えええ・・・?

この人は、足環の意味を理解していないのか?

マンダレイ氏は頬づえをついて、スケッチブックを眺めていたが、小さく息を吐いた。

「それと・・・やっぱりイメージと違うな。
モデルの仕事はしなくていいから、今日は帰りなさい」

帰りなさい・・・ってどこに?!

僕は心の中で叫んだ!!

さすがに僕の戸惑いと驚きが伝わったのか、マンダレイ氏は言った。

「交通費とか・・・金が必要なのだね。
ルーミンに頼もう。もう、服を着ていいよ」

僕は慌ててズボンを履き、シャツのボタンを留め終えた時だった。

「トビアス様、お茶の準備ができていますが、こちらにお運びしますか?」

ルーミンがドアから顔を覗かせた。

「ああ、こっちに頼む。あと、彼が帰るので、街まで車を出してやってくれ」

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