連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
僕はガバッと前のめりになって、ご主人様の胸ぐらをつかみそうになったのだが、何とかこらえた。

そのまま石畳に土下座をして、頭をすりつけた。

「お願いです!!しばらくここにいさせてください!!なんでもやりますから」

僕は泣きまねをしながら、素早く計算していた。

「今、帰ったら・・僕は殺されます!!」

実際、見つかればコンテナ行きか、臓器売買のどちらか・・・

「僕、身分証明も出生証明もない。親の顔も知らないのです。助けてくれる親戚もいません。
しばらくの間、かくまってください。お願いします!!」

「殺される?・・・」

うーーーんと、ご主人様はうなったが、僕にはもうひと押しすれば落ちるという確信を持った。

人道的な配慮か超法規的措置か・・・そして葛藤。

「顧問弁護士に相談しよう。ルーミン、連絡を取ってくれ」

ルーミンは上着のポケットからスマホを取り出した。

「はい。マンダレイ様の助手のルーミンです。
弁護士のウィザースさんに、つないでほしいのですが・・・」

ルーミンは何度かうなずいて、電話を切った。

「ウィザースさんは出張で、4日後に戻るそうです」
< 25 / 70 >

この作品をシェア

pagetop