連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
トビアス様は、石畳の上に正座をしている僕を見た。

「ええと、君は・・・」

「リアムです。そう呼ばれてきましたが、本当の名前かどうかもわかりません」

そう言って、僕は頭を垂れ審判が下るのを待った。

「わかった。弁護士と連絡を取れるまで、ここにいなさい。
それに身分証明書がないと、働くことができない?そうだね。ルーミン」

「もし、外国人なら不法滞在で、収容されてしまいます」

ルーミンは表情に出さないが、過去に嫌な体験をしたようで額にしわを寄せた。

「それでは弁護士に君の事、身分証明についても相談しよう。
その間、ここでルーミンの仕事の代わりをしてもらえばいいか。明日からルーミンがいないし」

その言葉に、ルーミンは不審げに僕をチラリと見た。

「私の一時帰国を許可していただき、感謝しております。
しかし代理の人を、すでに手配をしていますが」

温室であっても、石畳は冷えている。僕は自分の両腕で体を抱きしめていた。


< 26 / 70 >

この作品をシェア

pagetop