連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス

トビアス様の生活

<リアムの仕事>
朝食はトーストとコーヒー、昼食はパスタ、夕食はケータリングで頼む。

あと、掃除とクリーニングは専門業者が週2回入る。

トビアス様が外出をする時は、運転手を手配する。

僕がやるのは簡単な掃除や片づけ、ベッドメイキング、お茶を入れるなど。

お茶は、中国の独特な香りのするお茶だ。
トビアス様は、ジャスミンの花の入ったお茶を好む。

あと、薬の管理。
これも週1回、薬剤師と看護師がチェックにくる。

漢方薬という、根っこや葉、実などを煮出し、薬も造る。

トビアス様はほとんど外出しないし、温室で読書をするか、体調の悪い時はベッドで休むことが多い。

東洋美術関連の本が山積みの書斎は、穴倉のようだ。

外界との連絡は、出版社や画廊、美術商からの鑑定依頼、大学の講義、美術館関係で学芸員と企画展についての相談など、結構ある。

僕はそれらの取次をするくらいなのだが、専門用語も飛び交うので勉強をしなくてはならない。

僕の任期は一か月間。

さて、うまく財産をかすめとる・・・と思ったが、ルーミンのあの細い糸のような目で
「殺します」という声がよみがえった。

警察を呼ぶ前に、やられそうだ。

ファイルのポケット部分に、クレジットカードと連絡用スマホが入っていた。

「日常で必要な支払いはこれで決済するが、カードは使用限度額が設定されてある」
と、ルーミンは言っていた。

あと業者の連絡先が、細かく書いてある。

ふむ・・・

まずは僕の必要な着る物とか、日用品を買いたい。

リストを見ると高級紳士服の店名がある。

まず信頼を得るために、トビアス様に買っていいかどうか許可を得なくてはならない。

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