連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
書斎の資料を掃除のため移動させていたら、いくつもの東洋のポルノ絵画が出て来た。

三日月の、弧を描くような目のオトコとオンナが絡み合っている。

髪型が変だし、裸でなく長いキモノを着ている。


ポンペイの売春宿に残された壁画もそうだが、古今東西やることはどこでも同じだ。

僕はポイッと絵を戻すと、トビアス様が戻って来た。

片手にサンドイッチの皿を持っている。

「それはね、春画というんだ。日本のものだよ」

「裸にならないのですね」

僕が興味なさげに言うと

「着ているものや小道具で、その二人のステータスや立場を表現するからね。
それに美しいし、艶めかしいだろう」

そう言うと、サンドイッチを一口かじった。

「これを見て、東洋の国の人は興奮するんですか?」

それを聞いて、トビアス様は珍しく口に手をあてて「くくく」と笑っている。

「まぁ、そうかもしれないが・・・嫁入り前の娘に、乳母が見せて、やり方を教える教材として使ったんだ。
それに美しいから、コレクションする人も多かったようだし」

「こーいうのがお好きなのですか?」

僕の指さした紙、大きなタコがオンナに絡みついている図だ。
僕はそれとなく探りを入れた。

行為そのものより、縛ってほしいとか、平手打ちをして命令して欲しいとか、ヘンタイも奥が深いのだ。

トビアス様が首を傾げたので、僕は「NO」と判断した。

「東洋美術をやるものは、色々な資料に目を通しておかなければならないしね。
こっちも面白いよ」
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