連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス

トビアス様のルーツ



<トビアス様のルーツ>

オトコなら誰でもわかるはずだが、刺激があれば、ムラムラするように体ができている。

書斎にこもられては、どんな刺激が有効なのかわからない。

まず、ケータリングの食事を止め、僕が作ることにした。

意中の相手の関心を引くためには、胃袋をつかむのは常套手段だ。

会話が増える。
美味い料理は心をなごませ、信頼関係をつくる助けになる。

「トビアス様、パスタが冷めてしまいます。スープは熱々で召し上がっていただきたいのですが」

僕はそっと書斎のドアを開けた。

窓辺のソファーで、トビアス様が横になって眠っている。

テーブルにはワインの瓶、煙草で山盛りの灰皿。

パジャマにガウン、徹夜で着替えていないのだろう。

この人は、昼も夜も関係ないようだ。


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