連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
僕は一歩後退して、控室にある姿見に、全身が映るようにポーズを取った。

赤い唇がなまめかしい、女王様仕様の化粧とストレートの黒髪。

後ろはTバックなので、尻が丸見えだが、細いピンヒールとストッキングのシームで美脚に見える。

オトコにしては華奢だし、筋トレを頑張っても筋肉が付かない体質だ。

黒髪もそうだが、東洋の血がどこかで混じっているのだろう。

「四つん這いになって、尻をつきだしてみろ」

僕は命令されたとおり、ポーズをとった。

「ふん、エキゾチックでいい。相方を思いっきり犯して盛り上げてやれ!」

マネージャーは満足をしたのか、下卑た薄笑いを浮かべた。

「今日の客は、特に上客なんだ」

含んだ物言いに、僕はすぐに判断した。

「芸術関係者、貴族とか王族、富豪とも付き合いのある・・・ですね」

ボスの表の顔は、画廊経営で美術商だ。

裏では、絵画取引を隠れ蓑に、違法薬物を流通させるだけではない、男娼を派遣斡旋する人身売買もやっている。


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