連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
彼の見る世界は、薄墨のように柔らかな濃淡があり、輪郭がにじんでいるように思える。

「そうだね。私は生まれつき心臓が悪くてね。
手術も何回かしたし、運動はダメと言われたから、絵を描くくらいしか楽しみもなかったからね」

そこで、彼はふっと笑い胸に手をあてた。

「何回か死にかけている」

ああああああ・・・・僕は天井に目を向けた。

アレも運動で、興奮して心拍数を上げるから・・・心臓に悪いかもしれない。

考え込んでいると、トビアス様が立ち上がった。

「さて、シャワーを浴びて、もう一寝入りするよ」

「わかりました。その間に書斎の掃除をすませます」

僕も立ち上がり、その疲れが張り付いた背中を見送った。

まず、この人の基礎体力をつけないといけない、そう決意を固めた。

そう言えば、僕もここに来てから、やっていない・・・
そして白い貞操帯を思い出した。

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