連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
「ええ、今日は市場に買い出しに行って、ブイヤベースにしました。
白ワインも冷やしてありまよす」

「それは、楽しみだね」

彼は控えめに微笑むと、帽子とコートを僕に手渡した。

キャンキャン・・・

その声と共にきつね色の毛玉がぶっ飛んできて、僕の足の周りにまとわりつく。

「うわぁつっ!!」

トビアス様が驚いて、大きく一歩飛びのいた。

僕は足元で転げまわっている、薄茶色の子犬を抱き上げた。

「市場で見つけたんです!!かわいいでしょう?」

子犬はハフハフと呼吸を荒くして、僕の顔をペロペロなめてくる。

尻尾をちぎれんばかりに振って、せわしない。

トビアス様は眉間にしわをよせて、困惑ぎみに壁に身を寄せている。

「その・・犬は苦手だが・・」

僕はおおげさに、子犬を抱きしめた。

「こいつ、親犬からはぐれたんです。かわいそうなんです。
それに・・・僕が責任を持ちますから、しばらく、ここで一緒にいさせてください!!」

僕は子犬を抱きしめたまま、床にしゃがみこんだ。

「ダメならこいつと一緒に、裏の物置で暮らします。
トビアス様の目にはいらないように注意しますし、しつけもちゃんとやりますから」

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