連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
次の日の朝、二階から降りて来たトビアス様は、三つ揃いのスーツ姿で、隙がなかった。
「おはよう」
マランが彼の足元でお座りをして、尻尾をブンブンふっている。
時計を見ると、7時半だ。
いつもトビアス様は10時頃、起きてくるのに・・・こんな早く何か・・・ある?
「おはようございます。マラン、こっちにおいで。ご飯だよ」
僕は昨日の後ろめたい気持ちを隠すために、マランを呼び寄せ、抱っこをした。
「リアム、9時に弁護士事務所にいく事になっている。
君の身分証明の件で、いくつか確認するそうだ」
身分証明・・・これがあれば、まっとうな仕事につける。
が、トビアス様との関係が切れる事も意味する。
僕はトビアス様を見た。
あの首筋に、もっとキスマークをつけておけばよかった。
「わかりました。すぐに支度をします」
奴隷に拒否権はない。すべてYESだ。
僕はマランを、クローゼットの中にあるケージに入れた。