連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
「私が体調を崩した時、リアム、君が介抱してくれたから」

トビアス様は、ためらいがちに言った。

あの場所に、たまたま僕が遭遇して・・・それだけだったのか。

僕が好みのタイプとして選ばれたのではなかったのか・・・

心臓が、ズシンと重くなったような気がした。

「組織に関わる者は逮捕されている。少年たちも、保護されたから心配はない」

キャラハンは固い表情で、僕に告げた。

「それでは、君の来歴についてわかったことを説明しよう」

ウィザース弁護士が、何枚かの書類を机の上に並べた。

「君は6歳くらいの時に、あの組織に売られた。

売ったのはガルシアという、売春あっせんをやっていた女だ。
ガルシアはある劇場に出入りしていて、客と踊り子の仲介をして金を稼いでいた」

おしろいの臭い、チキンの骨、けたたましい音楽・・・微かに脳裏をかすめる。

「そこには、いろいろな女たちが出入りしていたのだが、リアンナ・ザカスという娘が子どもをつれて入り込んでいた」

リアンナ・ザカス?・・・まったく記憶にない。

「その人が・・僕の母ですか・・・?」
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