連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
「ああ、彼女は東部の難民キャンプにいた孤児で、慈善団体の援助でこの国に来た。
12才の時だ」

やはり、僕には東洋の血が流れていたのか・・・

「リアンナという名前は確かだが、ファミリーネームはわからない。
ザカスというのは、最初の里親の名字だ。

里親との折り合いが悪く、家出をしてガルシアと知り合ったらしい」

僕は先に言った。

「父親は・・・誰かわからないのですね」


ウィザースは書類に目を落としながら、事務的に答えた。

「ああ、そうだ。リアンナが15才の時に出産しているのだが、出生証明を出していない。
君は・・・病院で生まれたのではないだろう」

僕は、自分の膝に置いてある手を見つめた。

裏の社会では、普通によくある話だ。

「薬物もやっていたのですね」

キャラハンが肯定のうなずきをした。

「その人は・・・今は・・・」

そう言って、僕は緊張で膝の上でこぶしを握った。

その答えは、わかっている・・・

「残念だが、8年前亡くなっている。
路上で倒れているのを保護され、そのまま入院をして、肺炎をこじらせた」

ウィザースは、死亡診断書のコピーを指さした。

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