連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス

虚無ではない、愛の証明・☆彡

<虚無ではない愛の証明・☆彡>

コンコン

僕は、書斎をノックした。

「夜分遅く、失礼します」

トビアス様は窓辺のデスクで、書類に目を通していたらしく、眼鏡をかけてこちらを見た。

「これからの事を・・・考えていたので・・お話をしたいのです」

僕は一語ずつ、ゆっくりと言葉を吐き出した。

「そうかね。こちらに座りなさい」


そう言って、ソファーにトビアス様が座ったので、僕も横の椅子に座った。

僕の視線は、彼のゆったりと羽織ったガウンの胸元にいく。

「高校卒業認定を取って、コミュニティカレッジに行きたいと思っています。
そこで良い成績を取れれば、名門大学に編入できると聞きました」

あなたの横に立つのに、ふさわしい肩書が欲しい・・・

「僕も、美術関係の仕事をしたいと思っています。
だから・・・その専門に学べる大学が・・・どこがいいかわからなくて」

あなたの側にいたいから・・・あなたの役に立てるように・・・

トビアス様は、柔らかなアンバーの視線を僕に向けた。

「そうか、それならば、私も君の力になれると思うよ」

「あと、奨学金を取れるところも条件になります」

そう言って、僕は立ち上がり、トビアス様の前に立ち頭を下げた。

「・・・僕は最初、トビアス様をだまして、金を盗って逃げようと思っていました。
そのことも謝罪したいのです」

「君は・・・特殊な環境で生きなければならなかったから・・・」

そう言って、右手を僕の方に差し出し、握手を求めたように思えたが、僕は素早くその手首を握り組み伏せた。
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