連理の枝と比翼の鳥 リアムとトビアス
その顔色は青く、濃いブラウンの髪は乱れている。

アンバーの瞳が伏せられ、ずるずると床に座り込んだ。

「お客様、水をお持ちします。あと、係の者を呼びますので」

「いや、すぐに帰りたい・・・車を呼んでくれ」

彼は息絶え絶えに、何とか言った。

「わかりました。すぐに準備します。お名前をいただけますか?」

「マンダレイ・・・トビアス・マンダレイ」

僕はすぐに立ち上がり、近くの内線電話を取った。

「リアムです。今、お客様、マンダレイ様という方が・・・具合が悪くてすぐにお帰りになりたいと。
車の手配と水を持ってきてください。ええ、すぐにお願いします!!」

振り向くと、マンダレイ氏は壁に持たれて、膝を立てて座り込んでいる。

今日の上客の一人なのだろうが・・・

遠目で見ても、高級品の靴、スーツも一流のあつらえだとすぐにわかる。

「マンダレイ様っ!!」

黒服のコンシェルジェが、バタバタと走って来た。

「休憩のため、お部屋をご用意いたしますが・・・」

「・・・いや、車をすぐに」

マンダレイ氏は何とか黒服の助けを借りて立ち上がり、壁に寄りかかった。

「リアム、お前は自分の持ち場に戻れ!!」

コンシェルジェは目配せをしたので、僕はすぐにカーテンの影に引っ込んだ。
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