Bouquet

「花言葉……」

蒼はそう呟いた後、額に浮かんだ汗を拭う。空は雲一つない晴天だ。この青い空がもう少しすれば分厚い雲に覆われてしまうのが信じられない。

「もうすぐ夏休みだね。白銀くんは予定立ててる？」

クラスメートは夏休み前にあるテストのことなど目に見えていないようで、楽しそうに夏休みどこに行くのか予定を立てている。

「いや、特には。そう言う桃瀬さんは？」

「私も特にはないかな。夏休みの間に植物園に行きたいなとは思ってるけど」

長期休みの間は、花壇の花の世話は学級委員長と副委員長だけでなく、クラス全員で担当することになる。こうして一緒に水やりをするのも夏休みに入れば少なくなるのだ。

「夏休み、お水やりする日少ないね。ちょっと寂しくなっちゃうかも」

何気なく言った花音の一言に、蒼の顔が赤く染まった。



それから月日が経ち、ついに夏休みが明日から始まる。今日は終業式だけのため、生徒たちはみんなどこか浮き足立っていた。

「みんな、夏休みだからって羽目を外しすぎないように！また九月に会いましょう！」

牡鹿先生が一学期最後の言葉を終えたので、花音が「起立」と号令をかけた。