もうすぐ30歳ですが、なにか?
思い立ったら恋の予感
突然ノックとほぼ同時にドアが空いた。
いや、空いてからノックしてたかも知れない。

鍵も掛けてなかったし、未だ早いから寝てなかったけど、何事かビックリした。

「環、話しがある」
息を切らして多岐川先生が飛び込んできた。
どした?
珍しく先生が慌てている。

「この前、家の前で会った人、お袋なんだ」
はぁ?いくら何でも若すぎる。
でも、聞いてみたらもう70歳だって!

多岐川先生が高校生の時に家を出たお母さんだと。
出て行ったときから、もう親子の縁は切れたと思ってたけど、この前の手術のネットニュースを見て会いに来られたらしい。

声を震わせながら言った。
「お袋の事なんてどうでも良い。環に疑われるのが辛い。本当は会わしたくない。でも、疑われるくらいなら、会ってハッキリさせたい」

今まで見たことのない多岐川先生がここに居る。
抱き留めると、少し躰も震えてる。
いつも自信満々の先生が私に疑われ無いかと心配してる。
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