もうすぐ30歳ですが、なにか?
「大丈夫です。疑ったりしてませんから」
気付いたら背中をトントン叩いていた。
こんなに年上の先生に言ったら怒られるかも知れないけど、可愛かった。
私のことをこんなに思ってくれてるのが嬉しかった。

抱きしめられて、今までしたことの無い大人のキス。
ここが仮眠室であるのを忘れてしまいそうになった。
でも、「多岐川先生、まだ仕事中ですから」
何とか理性を保って言った。
「環先生は真面目だなぁ。ここでやっちゃう人もいるのに」
ここで!
こんな狭い部屋で壁も薄いと思うのに!
「無理!」
先生は笑いながら、
「環のそんなとこ好き。でも今度から二人の時は名前で呼んでね」

さっきまでとは違う、いつもの先生に戻ってた。

休憩時間いっぱい一緒に過ごし、先生は帰っていった。
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