あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「口説き慣れてますね…霜月さん」

「そうでもないよ」


ああそっか、向こうから勝手に寄ってくるから必要無いってことか。
そう思うとなんだか自分が誘えば簡単に乗るような軽い女に見られているみたいで、少しむっとした。


「いくら私が知名度低いタレントの端くれでも、初対面で言われて靡くほど警戒心捨ててないですよ」

「だって俺は初めてじゃないし」

「え?」


きょとんとして見れば、一応は仕事をするつもりなのか彼はピアスを変えたいらしくアクセサリーが並ぶうちの一つを手に取った。


「そもそも俺、気乗りしない仕事は受けないからね」

「…どういうことですか?」

「今日だって白雪ちゃん担当させてくれるって言うから来たんだよ」


それを耳に当てながら、なんでもない事のように言う。


「そ、そんな事出来るんですか…」

「俺、うちの社長の秘蔵っ子だから」

「……」


にこりと含みのある笑みになんだか要らぬ想像をしてしまった。
まさか愛人とか、そういう類のものじゃないよね?

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