あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
束の間の安寧
漣の寝室は完全遮光カーテンで窓が覆われている。
けれど朝日は少しの間からも入り込み、部屋をほんのりと明るくさせる。
漣の腕の中で目が覚めた私は、隣で眠る彼の寝顔を眺めていた。
——よく寝てる…
身じろいだら起きるだろうか。けれどそうは見えない程に熟睡しているように思う。
昨晩は私も久しぶりによく眠れた。
不安は消えないのに、漣の本音を聞いたからか、胸に沈んでいた暗く重いものはなくなっている。
そうして半刻ほど経った頃だろうか、ゆっくりと漣の目が開いた。
「…おはよ」
寝起きの掠れた声のなんたる甘さ。なんて事のない朝の挨拶なのに、それだけで胸が締め付けられ頭がゆるやかに痺れていく。
「よく眠れた?」
「うん…漣は、」
「ご覧のとおり超快眠超スッキリ」
言うや否や私を抱きしめて癒される〜などと宣われ、私は感情の行き場を失う。
昨夜はホットミルクを飲んでそのまま眠った。私も久しぶりに夜通し眠れたため、最近悩まされている朝方の頭痛は無い。逆に寝過ぎて体が重いくらいだ。