あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
漣の言葉を信じたとして、彼を選べば私はせっかく手が届きかけている夢を手放す事になる。本当に言葉通り漣が私を求め続けてくれるとも限らない。
逆にこのままの関係を続けたとて、リスクは大きい。どちらを選んでも、私の望んだ未来は無い。
かといって今の私には、私を好きだと言ってくれる想いびとを突き放す事も、出来ない。
寂しそうな彼を、独りぼっちの彼を、拒絶出来ない。
「私は…漣のこと、好きだよ」
「…知ってるよ」
「漣の唯一で居たい。けど…漣だけは、選べない」
「それも知ってる」
「私がずっと特別でありたい。他の人なんかに触らないで欲しい…でも、それは、無理なんだよね…?」
そう聞けば、静かな静寂だけが落ちた。
そしてしばらくの後、なんとも残酷な言葉を告げられた。
「…ごめん」
どこまでも酷い男だ。本当に。
けれどそんな男を好きになってしまった私も、もうどうしようもない。
そうまでして彼の特別でありたいと、離れたくないと、願ってしまっているのだから。
——ほんと、最悪…
それでも私は、この不毛な関係を選ぶ事にした。
もう後には退けないと分かっていながら、漣の背中に手を回す事しか、出来なかった。