あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…それ、すごく反応に困るんですけど」
「どうして?」
「遊んでるって公言してるようなものじゃないですか」
「見たまんまでしょ」
「否定はしないんですね」
霜月さんはにこりと笑うだけで答えなかった。
やっぱりね。断っておいて良かった。
清純派で売り出そうとしているのに、出だし早々から元モデルの遊び人とスキャンダルなんてたまったものじゃない。
霜月さんの横顔を眺める。
どうして私なんだろう。
彼と関係を持つ事は私にとってはリスクしか無いけれど、彼にとってはリスクも無ければ得も無い。それこそ、芸能人と遊びたいならもっと人気のある子に取り入ればいい。
秘蔵っ子と言うだけあってきっと認められるだけの技術を持っているのだろう。じゃなきゃ20代そこそこの若手が仕事を選べる訳がない。
なら彼が希望すれば、有名人につかせてもらう事だって可能なはずだ。それに売れっ子ならばある程度事務所から守ってもらえるし、彼にとっては一石二鳥のはず。
なのに、何故。
「遊び人は嫌い?」
心地よいテノールボイスで言われ、意識を戻す。
「…個人的には、別に」
「へえ…」