あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「白雪は、俺を捨てるんだ」
「…ごめん」
「否定してくれないんだね」
漣はスマホを出す。画面は暗いままだったけれど、言いたい事は分かってる。
「この中に初めての日の音声もあるんだよ」
「……」
「更にハメ撮りまであるって言ったら、どうする?」
段々と漣の声色から余裕が消えていくのが分かった。何を言おうと私がこれまでのように動揺もせず、一切の表情を変えないから。
けれど、何を出されようと、どう脅されようと、私が動じる事は、もう、ない。
「…好きにしなよ」
静かな声で言えば、漣は固まった。
「及川白雪を殺したいなら、好きにすればいいよ」
思えば最初からこうするべきだったんだ。
きっと漣はそんな事しないし、仮に音声データを流されたとて合成だと主張する事も可能だったはず。
そうしなかったのは、私の漣への恋慕。
彼とどうにかなりたいと願ってしまった私の浅ましさ。全部、私の責任感の無さが招いた事だ。
初めから拒絶していれば、こんなに辛い思いをする事も、彼にこんな顔をさせる事も、無かったのに。