あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
そう言いながら腕を取り、中へと促そうとする。けれど私は、そこから動かなかった。
「…白雪?」
漣の不思議そうな目が私を見つめる。
私もそれを真っ直ぐに見つめ返した。
「バレたの」
ただ一言。それだけ言えば伝わると思った。
案の定察しのいい漣は少しだけ目を開いたけれど、すぐにまた笑顔へと戻った。
「…そっか。今までバレたことなかったからちょっと過信してたかな」
で?と手を離して続ける。
「白雪は、どうするの?」
余裕の表情に苛ついた。
確かにこの状況は漣にとっては何も困らない。あわよくば私が芸能界から干されて自分のものになるとでも思っているのか、そうでないとしても彼には音声データという切り札がある。
私にはこの関係を続けるしか道は無いと、言っているように。
「どうもこうも、もう会わないよ」
けれど私はそう告げた。
その言葉にもう、迷いは無かった。
「ふうん…」
スッ…と漣の雰囲気が冷えるのを感じた。