あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「やっぱり聞かれたな」
「ですね」
呆れた顔をする和泉さんに私は余裕の笑みを返す。図々しくなりやがってと悪態をつく彼に「すみませーん」と適当な返事をしながら私は控室へと向かった。
和泉さんから嫌味を言われようが今日だけはスルーできる。なんせ久しぶりの午後が丸っとオフなのだ。ちょっとした浮かれ気分で着替えを済ませていると、スマホが着信を知らせた。
「はい、もしもし」
『白雪?』
電話向こうの声に、私は口角を上げる。
「どうしたの?」
『イベントのライブ放送見た。とりあえず、初の大河出演おめでとう』
「見てくれたんだ。ありがとう」
控室は個室なのでスピーカーに切り替え、私は軽くメイクを直す。デザインに惹かれて選んだリップを赤唇になぞっていると、電話をかけてきた人物——那由多は少し戸惑いながら言った。
『お前、最後の質問何も言わなかったろ』
何でだ、そう言われ私はやっぱりその話かと胸の内で思った。
「事務所の方がら正式に公言はしてるし、別に良いかなって」
『返事って言ったって、プライベートは本人に任せてるって曖昧なやつだろ』
「うーん…まあそうなんだけど、あながち全部が嘘って訳でもないでしょう?」
そう言えば、那由多は黙り込む。