あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜


色気のすごい女優なんて揶揄されてきたにも関わらず、これまで一度も熱愛報道どころかでっちあげすら無かった私がすっぱ抜かれたのは先月のこと。

食事処から2人で出てきたところを撮られていたらしく、初共演からの長年の純愛、密かに育んでいた愛など有る事無い事書かれて驚きを通り越して笑ってしまった。


「あの日だって和泉さんには食事に行く事言ってたじゃないですか。しかも萌葉だって居たんですよ」


撮られた日は今でも定期的に集まっている報告会という名の飲み会の時で、例の如く酒に潰れた萌葉をタクシーに押し込んだ直後の事だった。

そう言えば、何かを書き込んでいたノートから視線を上げ、和泉さんは私を見据える。


「じゃあ、新木とは何もないんだな」

「…まあ、今は」

「は?」


怪訝な顔に変える和泉さんから視線を外す。それを見て彼は忌々しそうにペンを持ったまま頭を掻いた。


「…まあお前も今年30だし、女優としての地位も安定してきたから一切恋愛すんなとは言わねえけどよ。昔みたいな事は辞めろよ」

「…分かってますよ」


和泉さんの言う昔とは、あの時の事を言ってるんだろう。まだ駆け出しだった頃。あまりに不安定で歪だった恋。

今でも胸の内に巣食う、彼の事を。

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