あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…、痛い…」
朝方の激しい頭痛。あまり眠れなかった日はこうして頭の痛みに悩まされながら目を覚ます。
二十歳の時から不眠の通院は続いていて、睡眠薬と頭痛薬は欠かせない。
私は傍らに置いていた薬をミネラルウォーターで流し込み、薬が効いてくるまでベッドから降りずに開きっぱなしにした可動式の間仕切り向こうのテレビをつける。
大して興味のないニュースが続く中、昨日の私の出演したイベントの映像が流れた。大河のイベントだったというのにコメンテーター達は私と那由多の関係を嘘だ誠だなどと話しており、しょうもないなあなんて聞き流す。
『男性との噂が一度も無かった及川さんの初の報道ですからね。信ぴょう性は高いと思います』
そんな言葉にこのコメンテーターは節穴だと無能のレッテルを貼り付けておいた。
少しずつ痛みが引いてきたのでベッドサイドから体を下ろし、寝室を出る。都内のセキュリティが万全の高層マンションの2LDK物件はそれなりの家賃はするが、ありがたい事に今はここに住めるくらいは稼げている。
実家を出たのは大学を卒業して少し経った頃。けれど忙しさにかまけて相変わらず料理はド下手で、見かねた母が最初は料理を持ってきてくれていたが最近は流石になくなって呆れられている。故に私の朝ごはんはもっぱらプロテインを補給するだけ。
幾つか並ぶ味から適当に選び、適量と豆乳を入れて無心でシェイクして胃に流す。那由多のおすすめだけあって美味しいとは思うが良い加減飽きた。けれど料理は面倒くさい。
気怠げな気分で簡単に身支度を整えれば、スマホが鳴る。和泉さんの迎えの車が来たようだ。