あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「……」
決して嫉妬じゃない。この気持ちは、そんな感情で収まるものじゃない。
私は羨ましかった。漣に素直に思いを告げられる人達が。 かつての私は彼が信じられなくて本音を隠してた。けれど漣からも離れたくなかった。
夢もまだ半ばだった。だからあの頃はどっちも手放したくなくて中途半端にぶら下がって、結局私は愛した人を捨てた。
その足枷が外れた今でも変わらず、私は漣に気持ちを伝えるのを躊躇している。
彼の望みがわかるから。私を自分に溺れされて、縋り付くしかなくなった時に捨てる。それが分かるから怖くて口にできなかった。
漣の冷たい笑顔を見るたび思い知る。もつれて解けなくなった糸のように、私達の心は永遠に通じ合う事はないのだと。
「…もういいよ、漣」
私は俯きながら服の裾を掴んだ。
「漣が私を恨んでるのも、復讐したいのも分かった。だから優しくしないで、したいようにすれば良い」
今日一日で十分に分かった。漣は努めて優しくしてくれようとするけど、その中に愛情は無い。
私を特別かのように言うのも、ただのテクニック。執着されることが愛情かもだなんで、どうして一瞬でも思えたんだろう。