あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
彼の思惑どおり


まさかだ。
あの日鼻で笑った「もしも」が起きるなんて、誰が予想していただろう。

マネージャーからの連絡に、私の手からスマホが滑り落ちた。

整理するために振り返ってみよう。
霜月さんにスタイリングされたグラビアの載った雑誌の売上は伸びた。まあ伸びた。

それを知った社長の行動は早く、マネージャーにそれまでとは全くタイプの異なる役のオーディションを探し出すよう指示をして、結果それが功を奏した。

私は初めてオーディションで役を勝ち取ったのだ。
これまでエキストラだったり、セリフが一言二言しかないモブのような役はやってきたけれど、しっかりと役名があるのはこれが初めてだった。

何がいちばんの衝撃かって、それが霜月さんの言った所謂「悪女」だったから。

私が射止めたのは深夜枠のドラマで漫画が原作の、ヒロインの恋路を邪魔するよくあるライバルキャラ。

オーディションを受けるにあたり原作を読んだのだが、そのキャラは生まれ持った美貌に確たる自信を持っており、それを利用して男心を弄ぶなかなかにいい性格をした女だった。

ただいちキャラクターとしてはその存在感や背景はストーリーの良さだったりヒロインの純真さを引き立てていて個人的には好きな役どころだった。
もちろん私だって役を掴む為に悪女なるものを調べ尽くしたし自分の魅せ方を研究した。

なのに喜びと同じくらいモヤモヤとしたものが胸に渦巻く。
癪なのは、全て霜月さんの思惑通りになっている事だ。

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