あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
落としたスマホを取り歓喜の声を上げるマネージャーにお礼を述べ、今後の予定を聞いたところで通話を切った。
そして手を伸ばし、放置していたカバンからそれを取り出した。
『もし俺の言う通りにしてオーディション受かったら、お祝いにご飯行こうよ』
手にしたのは霜月さんの名刺。それを見れば、あの日の彼の言葉を思い出す。
「…ううん、やめておこう」
一瞬過った邪な期待。
けれどその先なんて容易に想像がついてしまう。
今は自分の夢を目の前にしたとても大事な時期だ。遊び人なんかに振り回されている場合じゃない。
パァン!と両頬を叩き立ち上がる。そして下の階にいるであろう、ずっと仕事を応援してくれている母の元へ向かう為、階段を駆け降りた。