あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「那由多も無事舞台の千秋楽お疲れ様。すごく良かったよ」

「ん、サンキュー」


那由多は現在舞台俳優をメインに活動している。初めて舞台で演じた時の、観客の熱を直に感じれる空間が心地良かったのだと言っていた。

そんな久しぶりの挨拶を交わしながらタッチパネルを操作して注文をする。那由多が一杯目にクラフトビールを頼むのはお決まりなので、勝手に頼んで自分のノンアルも注文した。


「しばらくは休みもらえそう?」

「半月くらいはな。つっても単発の仕事がちょこちょこあるから丸1日ってのはそうねえな」

「私も似たようなもの」

「お前はもう大河の撮影入ってんじゃねえの」

「明後日からだよ。またしばらく忙しくなるからその分明日が休み」

「へー。なら今日飲むの?」

「ううん。今日は入れない」

「なんで?1杯なら平気って休みの前は入れるようになったじゃん」

「んー…まあ、ちょっとした諸事情で」


諸事情?と那由多が眉を寄せて聞き返したところで注文の品が届き、とりあえず乾杯しようと誤魔化した。

カラン、とグラスのぶつかる音を響かせ、2人同時に口に含む。メニューを相談し合って適当にいくつか見繕ったところで、で?と那由多が再度話を戻してきた。


「諸事情って何。お前また酒でやらかしてどっかの変な男に引っ掛かったの?」

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