あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
本恋会が開催される次の日、予定通り私は午後からの休みを利用して夕方から会場である食事処に出かけた。直前までひっついてくる漣を引っ剥がすのは少々苦労したが、約束通り1次会が終わる21時に帰宅すると念押しして出てきた。
店に入りキャップを脱げば、入れ込んでいた髪がぱさりと落ちた。最近私の髪の手入れをする趣味ができたと言う漣に連日ケアをされた髪は以前自分でしていた頃より断然艶も手触りも違う。
聞けば私の為に持てるツテと情報を全て使って最高峰のケア商品を取り寄せ、手入れの方法に至るまでありとあらゆる方面から調べ尽くしたと言うのだから、あの男の私への異様な執念は常々恐ろしい。
まあそれはともかくとして、そうして私が店に1番最初に着いたのだが、個室に通されそこで待っていると程なくして見慣れた顔が入ってきた。
「よお、久しぶり」
那由多が個室に入ってきてサングラスを外せば「萌葉は?」と見回す。
「仕事で遅れるみたい。先に始めててだって」
「ふーん。なんか最近あいつが1番忙しそうだな」
「タレント業に加えて会社持って色んな商品のプロデュースもしてるからね」
私や那由多は俳優業に専念しているが、萌葉は女優からは一線を引きタレントとして活動しながらファッションやコスメブランドなどのプロデュース、広告塔などの幅広い仕事をしているためひっきりなしに働いている。
少し前に2人で会った時も休まなくて平気か聞いたのだが、独り身の自由なうちにやりたい事をやっておきたいのだと笑っていた。好きな事をしている萌葉は輝いていて、私の心配などあっさり吹き飛ばしてしまった。