あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…え…」
顔を通り過ぎて触れられたのは耳。水音を立てながら淵を舌でなぞられ、耳の内までねっとりと舐め上げられる。
「ちょ、なっ、…ん…ぅ、」
時間にしてはそれほど長くはなかったはずなのに、長い時間に感じてしまったのは焦りか罪悪感か。漣の唇が離れるや否や耳に手を当て、顔を赤くしながら睨みあげた。
「な、何するの…!」
「マーキング」
「はあ?」
訝しげな視線を向けるも、漣の目は欠片も笑ってはいなかった。
「漣…?」
「我慢できなくてごめん。けど、なんか色々堪らなくなって」
漣はそう言い、ゆっくりと私を抱え込んだ。
「もちろん白雪に言い寄る男に嫉妬もした。けど…なんか、それ以上に腹が立って」
「どういう事?」
聞き返せば少しだけ漣は言い淀み、その代わりに力が込められた。
「…昔、」
「昔?」
「俺はずっと、白雪にこんな思いさせてなのかなって…考えだしたら急にやりきれなくなった」
「……」