あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
萌葉はまた少しうんうんと唸った後、しばらくしてようやくカップに入ったティラミスにスプーンを入れた。
「…うん、まあでも、驚きはしたけど特別変な事ではないのかな。交際期間が長ければ上手くいくってものでもないし」
「萌葉が言うと不思議な感覚だね」
「私の事はいいの。それより事務所は平気なの?」
「うん。一回報道が出たからこの際交際も結婚もそう大して変わらないって。元々アイドル路線で売ってた訳ではないし」
「成る程ね〜その点では那由多の事褒めてあげるべきなのかな?」
萌葉の言葉に、ムキになって文句を返す那由多を想像して笑ってしまった。
「とはいえまだ少し様子見だけどね。公表はもう少し先になりそう。だから一応はまだ婚約って段階」
「そう…。でも、本当よかったね、白雪。おめでとう」
「ありがとう、萌葉」
萌葉に笑顔を返しチョコレートタルトを口に運ぶと、「けどさ、」と思いついたように言うので再び視線を上げた。