あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
交わる愛憎
写真集発売イベントは午前と午後の二部生で行われる。
都内の商業施設のイベントスペースに会場が設営され、私の顔が大きく印刷された大きなパネルの下にて、写真集を購入してくれた方の中から抽選で選ばれた人達と交流をする。サイン本の手渡しだったり少しだけ会話したりするイベント、所謂お渡し会だ。
午前の部は無事に終わり、午後の部を迎えていた。
「写真集おめでとうございます!いつも応援してます!」
「ありがとうございます」
イベントには男女共に集まってくれ、手を差し出されれば握手で答える。にこりと微笑めば、今し方ファンだと名乗ってくれた女性は「ふわぁ…」と声を上げた。
「顔ちっさ…色白…テレビの何倍も綺麗…」
「ふふ、そんなにですか?」
「せ、先日の大河も観ました!めっちゃ泣きました!」
「嬉しいです。そんなに褒めていただけると、役者冥利に尽きます」
SNSもしなければイベントも番宣くらいしか顔を出さない私の数少ないファンとの交流ともあって、手渡しの際には2、3分ほど会話の時間を設けている。
ありがたいことにドラマの感想を伝えてくれたり容姿を褒めてもらえたり、普段交流がない分たくさんの想いを伝えてもらいここ最近少し落ちていた気持ちが晴れていくのを感じた。
報道に踊らされることなく純粋に応援してくれる人がいるというのは、今の私にとってはひどく嬉しいものだった。