あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「…仕事って?」
「向こうの専門学校の講師とか色々」
「……」
「白雪のそのドン引き顔、久しぶりに見たら平和が戻ってきた感じがするね」
声を上げて笑う漣に、最早かける言葉が無かった。
帰国の際、1週間と経たずに返ってきたのは放置してきたからだったのかと思うと頭痛が酷くなった。
どこまでいっても、奇天烈な男だ。
「…分かったよ」
けれどそんな所も好きになってしまったのだから仕方がない。
私はため息混じりに言い、怪我をしていない方の漣の肩に頭を預けた。
「私も一緒に行く。…結婚発表してから。旦那さんの仕事に着いていくって、公表する」
「…そんな事していいの?」
「和泉さんには怒られるだろうけどね。…けど、今更だから」
クソガキ扱いされるくらい、私は何度も和泉さんの地雷を踏んできた。だから今更だ。
それにきっと、真剣なんだときちんと相談すれば彼なら文句を言いながらも最善の道を提示してくれる。そう思うと、この10年で培ってきたものも、全く無駄ではないのだと少しは思えた。