あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
ふと前に視線を向けると霜月さんも同じものが届いていたのだが、綺麗だった。見た目の話ではなく、その所作が。お箸の持ち方ひとつにしても品の良さが感じられた。
思わずジッと見つめてしまい、視線に気付いた霜月さんの瞳がこちらを向いた。
「どうしたの、白雪ちゃん」
「あ、いえ…食べ方がとても綺麗だなと思って」
霜月さんは少し目を開き、けれど一瞬で元に戻った。
「こんな見た目してるのにって?」
「そこまで思ってません」
「そう。…けど、初めて言われたな」
「そうなんですか?」
マナーに疎い私が気付くくらいだから誰でも思うと思うけど。
「そもそも俺、人と食事ってしないんだよね。あんまり好きじゃなくて」
「え…」
あんなにスマートに誘っておいて?そんな事ってある?それも口説く方法のひとつ?などと、その考えは顔に出ていたらしく、信じてないでしょと言われた。
「はい、まあ、信じてません」
「はっきり言うね。…なんか、苦手なんだよね。人とじっくり話すのって」
「はあ…」
じゃあなんで私を誘ったのとは聞かない。どうせ聞いたところではぐらかされるか嘘っぽい甘い言葉が返されるだけだと思ったから。