あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「じゃあ他に何を言えばいいんですか?」
「そんなの、『漣のおかげだよ、大好き!』くらいくれてもいいと思うけど」
「や、です」
じとりと睨むも霜月さんは表情を崩さない。
誰が言うもんか。そんな恥ずかしいこと。
「じゃあキスは?」
「もっとハードル上がってるじゃないですか」
「じゃあ名前呼んで」
「名前?」
もう何回も呼んでますけど。そう思って見つめて言いたいことに気付いた。
「…ね、白雪ちゃん」
「……」
「漣って呼んでくれる?」
男性の下の名前を呼ぶのに別に抵抗なんて無い。交際経験が無いわけでもなく、そんなことで今更動揺するほど初心でもない。
けれど、相手が霜月さんというだけで勝手に鼓動が早まってしまうのは、もう私ではどうしようもない。
「…わかりました」
「今呼んでくれないの?」
「必要な時に呼びます」
そう返したところで前菜が届き、創作フレンチらしいと思い至った。お箸を出してもらえたので迷わずそれを使うことにする。