あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「なら、これまで女性とはどういうデートをされてきたんですか?」

「デートっていうか、お酒の出る店行ったり、ホテルとか家に行ったり」

「…なるほど」


まあ用はセックスをする為に会っていたと、そういうわけか。
不純だなあと思いながら次の料理を口に運ぶ。


「なんだか勿体無いスキルですね」

「スキルって…まあそうだね。仕事で使う事はないかな」

「使う機会ないのになんでマナーが完璧なんですか」

「完璧ってほどでもないよ。もう何年もそういう場には顔出してないから」


霜月さんの言葉ひとつひとつが彼がただの軽いだけの遊び人でないことを物語っているようだった。


「…霜月さんって結構いいご家庭出身なんですか?」

「見えないでしょ」

「そうですね。ヤンチャしてたって言われた方がしっくりきます」

「実際ヤンチャはしてたよ。だから、ほら」


そう言って舌を出す霜月さんになんだろうと少し身を乗り出して近づけば、舌先から少し上の辺りに小さな銀色の粒が見えた。


「えっ!?これ、ピアス!?」


初めて見る舌に驚いて声を上げてしまった。
静かな店内に響いた自分の声に慌てて口を押さえて咄嗟に辺り見回したけれど店員さんはやってこないようで、ひとまず胸を撫で下ろした。
そんな私の一連の動作を見て、霜月さんは肩を震わせていた。

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