あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
自分から振っておいて話は聞いてほしくなかったみたいだ。面倒な人だな。
そう思っていると次の食事が運ばれてきて、ふんわりと香る白身魚と香辛料のスパイシーな香りが食欲を誘った。
「じゃ、話題変えようか」
そう言ってカトラリーを手にする霜月さんを真似て、私もナイフとフォークを持った。
「白雪ちゃん、今写真集の企画が出てるんだって?」
情報筒抜けだな。誰が元手だ。
「…はい、まあ」
「それ、俺も混ぜてよ」
「えっと…それは私の一存では…」
打診してみる事はできるけれど、最終的な決定を下すのは社長だ。
「撮影はいつ?」
「話聞いてます?…まだ正式には決まってませんけど、今の撮影が落ち着く3、4ヶ月後です」
「ん、わかった」
何がわかった?そう思うけれど当の本人はどこ吹く風。私だってまだそういう話が出ているとマネージャーから聞いただけで実際の打ち合わせに参加するのはもう少し先の話だ。
ロケにだって行くだろうし、泊まりにもなる。
それなのについてくる気だろうか、この人は。
そうしてその夜は本当に食事だけして終えた。
帰り際、歩いて帰ろうとしたら先回りしてタクシーを手配されており、その際手渡されたタクシー代の多さに目玉が飛び出しそうになった。
こんなにもらえないと言ったのだが上手く言い含められ車内へと押し込められる。
時折見え隠れするセレブリティ感というか浮世離れした部分に、霜月さんへの謎が深まった夜だった。