あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
弄ぶひと
ドラマの撮影は順調に進み、それが終わる頃には春の麗らかな陽気を感じる季節に移り変わっていた。
「白雪さん、クランクアップです!」
スタッフさん達から花束を受け取り、私は主役の2人より少し早くクランクアップを迎えた。
「白雪〜!お疲れ様!」
すっかり友人となった萌葉からハグを受け、今度ご飯行こうねと嬉しい言葉をくれた。
「ついでに那由多も来ていいよ」
「俺はおまけか」
そんな取り留めもない会話で見送られ、現場を後にする。
「白雪、朗報だ」
「何ですか」
迎えに来たマネージャーの車に乗り込みながらそう聞き返す。
「夏シーズンからの学園ドラマの役が決まった」
「えっ、ほんとですか?」
「ああ。今回のドラマを見て脚本家がお前を気に入って推してくれたようだ」
「それってあのミステリーのやつですよね?妹を喪った姉が教師として真相を調べるためにお嬢様学校に潜入するっていう…」
「そうだ。お前の役はカーストトップの財閥令嬢。ストーリーの中でも重要な役だ、気張れよ」
「は、はい!」