あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「…っ、めっちゃ締まる…」


初めて漣が顔を歪ませるのを見た。感じてる時ってこんな顔するんだ。なんて、言葉ですらなく顔だけで絆されてしまうのだから好みとは恐ろしい。
その頃にはもう答えなんてどうでも良くなって、私は漣の首に腕を絡ませた。


「…漣、動いて」


熱に溶かされる。その後の行為なんてもはや動物のそれで、理性なんてものは存在しなかった。
奥を散々突かれて互いに果て、仰向けのまま荒い息を吐いていると漣の身体が寄りかかってきた。


「白雪…」


私のよく育った胸に顔を埋め身体を抱き締める漣は子供のようで、まだ力の入らない私は片手で彼の頭を撫でた。

結局私の質問に漣は最後まで答える事はなく、しばらく私の身体を撫で回して満足して帰って行った。

去り際に「逃げないでね」なんて飄々と言い放ち去っていく姿はまさに遊び人を体現したそれで、そりゃあどうして会いたいかなんて、答える必要なんてないよなと人知れず静かに肩を落とした。

何はともあれ、この幼少の頃から白雪姫と謳われてきた白い肌を守れた事だけは、良かったことにしよう。

これ以上、体は奪われても心は奪われない、そう、胸に誓って。


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