あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
目が覚めたのは日がすっかり落ちてからで、酷い倦怠感で帰宅は諦めた。タクシーを使えば帰れたかもしれないが、どれくらいの金額になるか考えるだけで恐ろしかったので即座に候補から外し、母には撮影が1日延びたとメッセージを入れた。
「白雪って実家住みなんだ」
身体洗ってあげるなんて言われ、拒絶もあえなく無駄に広い浴槽に浸かりながら漣は背中から私を抱きしめ言ってきた。
「そうだよ。じゃなきゃ仕事も無いのにこんなに余裕持って暮らせないよ」
「今は忙しいじゃん」
「それは大学も通ってるからそう見えるだけで…」
「白雪って大学生なの?」
「今更?」
あれだけこちらの仕事内容を把握しておいてそこは知らなかったのか。
「ふーん…」
「なに?」
漣が私の肩に顎を乗せ、面白くなさそうに呟く。