あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜


霜月さんの声を聞いているだけで頭がふわふわしてくる。
これが耳が幸せというものなのだろう。
声優さんになっても絶対売れそう。

そんな事を考えながら余韻に浸っていると、髪が耳にかけられた。

霜月さんの指が耳裏を撫で、指先を直に感じてドキドキする。
ダメだ、全然治らない。


「いいよ。白雪ちゃん、こっち向いて」

「……」


正直嫌だった。
完全に意識したこの状態で霜月さんの顔を見るのが億劫だった。

けれど振り向けと言われた以上反発するわけにもいかず、もうどうにでもなれと意を決してぐるりと身体を回した。

案の定、目が合った。真剣な目をしていた。
邪な心を見抜かれたようで居心地が悪く、少しだけ目を逸らした。


「白雪ちゃん」

「…なんでしょう」

「一目惚れって、信じる?」

「は?」

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