あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「漣、待っ…」


言葉尻を待つことなく中へと強引に押し入れられ、その勢いの強さに口から濁音が漏れた。

話をしたいのに漣に快楽を覚えさせられた身体は快感を拾うばかりで言うことを聞かない。


…その時、ぽたりと何かが落ちてきた。

刹那、垣間見えた漣の表情に一瞬だけ正気を取り戻す。けれどすぐに悦楽へと引き摺り込まれ、その思考は消え失せた。

間も無く絶頂を迎えたのだが中に感じるものはまだ衰えを知らず、執拗に責め立てられ漣が果てる頃には私は体力の限界を迎えていた。


薄れゆく視界の中で見えた漣の顔。
彼は、泣いていた。


けれどその後どれだけ理由を尋ねても、「気のせいじゃない?」といつものニヒルな笑みではぐらかされるだけで、漣が答えをくれる事は無かった。

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