あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
思いあがり



相変わらず漣との人には言えない関係は続いている。
1日オフの日だったり大学だけの日だったり、私の仕事がない日は呼び出され、言葉少なに会話しては抱かれる、そんな日の繰り返し。

けれど漣は私を可愛いと、好きだと言い続ける。

その度に思う。もしかして漣は本当に私が好きで、セフレという関係を望んでいるのは寧ろ私の方なのかもしれない、と。

仕事のこと、彼の女癖の事、諸々と向き合うのが怖くて逃げているのかもしれないと。

あの日の漣の涙を思い出すたび、そんな事を思うようになってきた。


「来週から撮影が始まるの」


ベッドサイドの明かりだけが灯る仄暗い寝室で、漣に抱き寄せられながら言った。


「…来週?」

「うん。しばらく撮影とか取材とか立て込んで、今みたいには会えなくなる」

「…そう」

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